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50代からの結婚とそのリスク

現代の日本では晩婚化や長寿化が進み50代の未婚の人が増加しています。そして50代からの結婚を臨んでいる人も少なくありません。
50代で結婚を考えている人の中にはずっと独身だった未婚者や、一度結婚をしていたけど離別を経験した人など背景が様々ですが、一般的に50代の結婚は若い世代と違って情熱だけでは突き進むことが難しいと考える人が少なくありません。
50代からの結婚には具体的にどのようなリスクがあるのか見ていきましょう。

子供が持てない

日本人女性の平均閉経年齢は50歳で、40代後半からは自然妊娠の可能性は10%未満になると言われています。
不妊治療をしたとしても50代での出産は母体に負担がかかりすぎるので現実的ではありません。
また、男性の加齢も不妊や自然流産の確立が高まる原因となっているのが現実です。

たとえ50歳で子供を持てたとしても成人するときの親の年齢は70代です。定年退職後も教育費や学費にお金が必要になるので老後の生活が圧迫されてしまいます。
また子供が成人する前に親が何らかの病気を患ったり、場合によっては介護が必要となる可能性も高くなってしまいます。

子供を持つことだけが結婚の目的ではありません。夫婦2人でゆっくり楽しく過ごすことを第一に考えるのも一つの選択肢です。

介護問題について

厚生労働省の発表によると2020年の日本人の平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳となっています。一方で健康寿命は男性が70.42歳で女性が73.62歳となります。平均寿命と健康寿命が10年ほどあるということは、病気や加齢に伴う体力の低下により介護や支援が必要な期間がそれだけあると考えられます。

50歳の子の親は80歳前後だと前提すると、50歳を過ぎての結婚は、結婚して二人の生活を満喫する間もなく双方の親の介護がすぐに始まってしまい理想とは全く違う結婚生活を送る羽目になってしまうかもしれません。
親の介護義務は実子にありますが、お互いの介護事情をしっかりと把握し、それに対する考え方をきちんと話し合っておきましょう。

さらに50歳を超えると、親だけでなく本人も病気や死亡のリスクが高まります。親の介護問題と同様に自分たちに介護が必要になった場合にどうするのかについても、あらかじめ明確にしておくことが必要です。

老後がすぐ始まる

50歳で結婚をしたとすると定年退職まで15年しかなく、老後の生活の方が長い夫婦生活となります。二人が定年を迎えるまでに老後はどのような生活を送りたいのかプランニングしておく必要が出てきます。
また、50代で持ち家を購入すると場合によっては住宅ローンの完済時が70代になってしまいます。
老後に住みたいのは都会か地方か、自宅に住み続けるのか住み替えるのかなど人によって希望は様々です。せっかく結婚をしたのに老後の価値観が合わず、すぐに結婚生活が破綻してしまうかもしれません。

家族関係について


どちらか、または双方に子供がいる場合は独立しているかが重要になります。
既に独立していれば親の再婚を理解し祝福してくれる場合がほとんどですが、介護問題や遺産相続の際に義理の親子間に遺恨が残らないよ意思を明確にしておくことが大切です。
また、子供が未成年の場合は養子縁組をするかしないか、扶養義務が誰にあるのか、養育費の支払いはどうするのかなど詳細を話し合う必要があります。

結婚後に弁護士と相談して遺言書を作成しておくもことも検討したほうがいいでしょう。
「まだまだ元気だから」「遺言書なんて大げさ」と思われがちですが、元気だからこそ作成できる証書です。
遺言書の内容は変更も可能なので財産内容を見直す良い機会だと思って定期的に更新しておくことでトラブルになることを防止できます。

また、50代になってくると相手と離婚ではなくて死別の人もいます。その場合はお墓をどうするのかという問題も発生します。
例えば死別した男性と結婚した場合は、もし自分が亡くなった際には前妻と同じお墓に入るのか、別のお墓に入るのか、希望によっては生前から準備しておくことも必要です。

事実婚という選択も

50代からの恋愛は結婚という形にこだわりすぎず、あえて「事実婚」を選択することでここまで紹介してきたリスクが回避できます。
事実婚は婚姻によって発生する権利は得られませんが、今更苗字を変えたくない、相手家族とのトラブルを回避したい、財産(遺産)で揉めたくないなどで悩む必要もありません。

最近では法整備が少しずつ進んできており、一部の法律においては婚姻届けを出している法律婚の夫婦と同等に権利が認められています。信頼できるパートナーと老後を穏やかに過ごすことが目的ならば事実婚は理想のライフスタイルといえるでしょう。

結婚のメリットは?

ただし事実婚は家族関係を証明しにくいため、もしものことが起きたときに家族として認められず悲しい思いをすることがあります。
夫婦のどちらかが入院や手術が必要になった場合でも、親族ではないので同意書にサインは出来ません。遺産の相続や生命保険の受取人についても指定するこが出来ません。

事実婚の関係でいるよりも入籍をしようとなった場合には、周囲から祝福される結婚生活が送れるよう両家族間であらかじめ細かい取り決めをしておくとよいでしょう。
お互いのパートナーや家族のために、自分たち夫婦に合った形を選ぶことが大切です。

まとめ

50代からの結婚はリスクも多く周囲に反対されるパターンも少なくありませんが、それでも中には幸せな熟年結婚をした夫婦もいます。
理想だけでは結婚に辿りつくことが出来ないのが50代からの結婚です。慎重な準備が幸せな結婚生活の決め手となりそうです。

若い人たちと同じような結婚生活ではありませんが、老後のビジョンや互いの状況を明確にすることで信頼できるパートナーとして寄り添って生きていくことは十分に可能といえるでしょう。